花鳥図・花鳥画とは
花鳥画は、画題が花と鳥に限定されず、草木、虫、水生生物、時には小動物も含まれます。中国で体系化されたものが、日本にも広まりました。
花鳥画は、花や鳥を主として動植物が描かれます。中国で宋代以降、定型化した画題と構成を持つ作品(藻魚図、蓮池水禽図など)として、民間にも広まりました。芸術性、装飾性の高さ、隠しテーマや言葉遊びが共有され、ある意味を、別の物事に託して表す、寓意というものが喜ばれました。やがて花鳥画には、士大夫(したいふ)と呼ばれる貴族階級の文人の、理想や価値観が反映されていきました。こうして花鳥画は、文人同士の贈答品として使われることにより、さらに発展していきました。
花鳥画における動植物の意味
- ・魚・鯰・鯉
- 魚は古来よりめでたさ・豊饒・子孫繁栄、登竜門伝説より成長・出世の意味が加わり吉祥画と言われています。士大夫の精神的な理想である、自由な境地というという寓意もあります。鯉は、登竜門伝説により、男児の成長出世を願う意味となりました。
- ・蓮
- 士大夫は蓮が泥土からまっすぐに茎を伸ばし、美しく花開くことから、君子の高潔性という精神的理想を重ねました。伝統的に男女の結婚や、子孫繁栄の意味を含んでいました。
- ・鷺(さぎ)
- 水鳥は豊かさ、子孫繁栄の意味があります。さらに泥地に汚れず立つ姿から高潔な人格、転じて官僚に合格するという意味があります。
- ・芙蓉
- 栄華。
- ・蔓系植物
- 豆、葡萄、瓜は連綿とつながる子孫を表します。
- ・罌粟(けし)
- 子どもの誕生を願っています。
- ・鵪(うずら)
- 安らかさを表します。
- ・蝶・猫
- 長寿を意味します。
- ・蜂・鹿・猴
- 高位の役職への出世と、富裕になるという意味があります。
- ・鴨・蟹・亀
- 甲羅を持つ生物は、官僚に最優秀で合格。
- ・菱(ひし)
- 子どもが賢く育つ願い。
- ・鶴
- 鶴は古来より仙人の乗り物と伝えられていました。仙界、長寿、吉祥、出世の願い。当時文人のペットとして飼われ、風流な隠遁生活という意味も重ねられました。
- ・兎(うさぎ)
- 不死、再生。
- ・竹
- 生命力の強さから、特別なめでたい植物とされます。爆竹の賑やかさ、祝い、繁栄の意味。士大夫は竹の真っ直ぐさ、冬季でも青々としていることなどに人格的理想を重ねました。
- ・鶏冠花
- 雄鶏は朝を告げるため、めでたい陽鳥、男子の出世。